1月2日。


不透明なこの世界を、時間だけが足速にかけていき、あっという間に年が明けた。


年が変わり、街は新年を喜ぶ人々で賑わっていた。


年は変わっても、この街には変わらないモノたちで溢れていた。


そう、この日もレイナはいつもと変わらず、歩道橋で一人、ギターを片手に歌を歌っていたのだった。


『月の下で奏でるメロディー〜君は何を感じているの〜♪』


レイナが地面にあぐらをかいて座りながら歌っていると、ふと一人の男が目の前で足を止め、立ち止まった。


その男の姿は、銀色の肩よりも少し長い髪をしていて、スーツを着てはいるがネクタイをしていなく…どこかホストっぽい感じの男だった。


『君の歌からは口先だけの言葉しか感じられない。君は誰のために歌っているんだ?』


ホスト風の男は冷たく言い放った。


その言葉にレイナは、何も答える事が出来なかった。


『ふっ…』


ホスト風の男は少しあきれた様子を見せた。