帰り道、ケイゴはしばらく黙り込んで歩いていた。


『なあ、おい、ケイゴ。ナンパに失敗したからってさ、そんなにしょげるなよなー。あ〜あ、せっかくこの前の負け分取り返せると思ったのになー』


ヒロは悔しがっていた。


『なあ、ヒロ。夢をさ、夢を持たずにアスファルトで舗装された、安定した今を歩いていくのと…夢を持って雨でぬかるんだ不安定な今を歩いていくのと…どっちが正解なのかな!?』


ケイゴは深刻そうな表情で尋ねた。


『えっ?また、いきなりだな。そうだなぁー、どっちが正解なんて今はわからないんじゃないのかな!?どっちの今を歩いたって、たどり着いた未来で“この道で良かった”って、そう思えたならその道がきっと正解なんだと思うよ』


ヒロは真面目な表情で答えた。


『ヒロ…。何かそのセリフはヒロには似合わないな』


ケイゴは笑って言った。


『おい!!人がせっかく良い事言ったのに…似合わないって、酷いゾ!!』


ヒロはそう言ってスネた。


『ごめんごめん。でも、ありがとうヒロ。今の言葉で迷いが何か吹っ切れた』


ケイゴの声に明るさが戻った。


そんなケイゴを見たヒロは、少しホッと笑みを零した。


『じゃあ、ここでバイバイだな。またな、ケイゴ』

十字路に差し掛かると同時に、ヒロはそう言ってケイゴに手を振り立ち去ったのだった。