『小林さん、あなたにお願いがあります。これからもずっと両親の命日には、お墓にお花を供えてあげてください…。それと、あんな事故があったからって私を特別扱いしないで下さい。私はあなたが抱えるアーティストの一人です。私たちは、フレンズは自分たちの力でもっと上を目指しますから…』


レイナはニコっと微笑んだ。


『すまなかったな…レイナ…』


小林誠吾は力無く呟いた。


『メンバーが待ってるんで行きますね、失礼します』


レイナはケイゴの腕を引っ張って、二人は部屋を出た。


『レイナ…。お前強くなったな』


急に立ち止まったケイゴは、レイナの頭をそっと撫でた。


『うん、強くなったよ。だから…だからケイゴは安心してフランスに行って大丈夫だよ』


レイナは笑顔で言った。


『レ、レイナ…お前ゆうべの話聞いてたんだ…』


ケイゴは驚いた。


レイナはニコッと笑ってうなづき、それを見たケイゴはたまらずレイナを抱きしめた。


『ありがとう、レイナ』


ケイゴはレイナを抱きしめながら優しく言った。


『ケイゴ…どういたしまして』


レイナはケイゴの腕の中で幸せそうに呟いた。


レイナと小林誠吾…二人の心の中のわだかまりも消え、二人の心の片隅で降り注いでいた雨はようやく止んだのだった。