『ホントに心配かけてゴメンな、ケイゴ』


『もう一生分心配したよ』


ケイゴは笑って言った。


『またユイに迷惑かけちゃったな…』


『ユイちゃん…1番ヒロの事心配してたぞ』


『…なあ、ケイゴ。俺やっと気付いたよ』


『気付いたって…何が?』


『事故った瞬間、走馬灯のように浮かび上がった思い出の中にさ…いつもユイがいたんだけど…そりゃそうだよな、いつもユイは俺の傍ににいたんだもんな』


ヒロは優しく微笑んだ。


『ヒロ…』


ケイゴも微笑んだ。


『それでさ、生と死の間をさ迷ってる時に…俺の名前を呼ぶ二人の声が聞こえたんだ。それがケイゴとユイの声だった…ありがとうなケイゴ。俺の名前呼んで、俺を助けてくれてさ』


ヒロはケイゴに頭を下げた。


『頭下げるなんて、ヒロらしくないぞ。…さて、僕も仕事に戻るよ…また退院したら飲もうぜ、ヒロ』


ケイゴはそう言って、病室を出て行った。


ケイゴが病室を出た後、ヒロは一人考え事をしていた。


『ヒロ。何考えてるの?』

ユイが花瓶に水を入れ、帰って来た。


『ユイ…いつも傍にいてくれてありがとう。ユイが俺にとって、かけがえのない人だってやっと気付いたよ』


『ヒロ…』


ユイは呟いた。


『ユイ。これからも傍にいてくれ』


ヒロは笑顔で言った。


『…うん』


ユイは照れ臭そうにうなずいた。