「・・ナオ」
母親の弱弱しい声に、
俺はハッとする。
急いで起き上がり、母親の元に寄る。
手から流れる一筋の血。
その血がポタッと床に零れ落ち、小さな血の水たまりが出来ている。
『手当て・・』
そう小さく呟いて俺は慌てて救急箱を手に持ち、そして慣れた手つきで母親の血を拭き取っていく。
キレイに包帯を巻き終えたと同時に、母親がナオを軽く抱き締める。
「ありがとう、ナオ」
涙ぐんで震えている声。
微かな体の震えが、俺にも伝わってくる。
「私の大切な子」
何があっても、捨てたりなんてしない。 と小さく呟いた彼女の言葉を、ナオはしっかりと聞いていた。
愛人の子どもだからと、
俺を憎む義理の父親。
狂ってる奴は、毎日母さんを傷つけて傷つけて・・・悲しませる。
俺が生まれてしまったせいで、
俺がここに居るせいで、
母さんが傷つけられるのに。
全て、俺が悪いのに・・・
なのに母さんは俺を誰よりも愛してくれる。


