どうやら心配してくれているらしい。

それが分かったから笑みを作る。

「大丈夫大丈夫。レーアのお母さんはセヘネのお母さんみたいに面倒じゃないから」

「何が大丈夫なんだ」

眉間にシワを寄せるアルスに曖昧な笑みを浮かべる。


「明日も暇だから今夜はずっと一緒にいようね」

耳元で囁くとレリアは微かに眉を寄せた。
その顔が、明らかに嫌そうだ。

「どうかした?」

「……あなたの体力にはついていけないわ」

「……率直に言うと、ヤりたくないわけね」


拗ね気味で言うと「だって」と言われる。


「おいおい、セヘネ嬢をほっぽっといてすることしてるのか?」

驚き気味に聞かれた。
その顔は本気で驚いているという感じだ。


「してないって思ってた?」

「思ってた。だってお前、女に興味ないからそういうのやりたくないって言っていただろ?」

「そーだっけ?」

「そうだ」

とぼけてそっぽを向くと、隣りでため息吐かれる。

白々しい態度ではあるが、二年前のルゼルを知っている者なら誰だってアルスと同じことを思うだろう。


「お前は…、いつからそんな捻くれたんだ?」

「純真無垢な僕をそんなふうに見れるお前の方がどうかしてるんじゃないか?」

ただ純粋に愛している人を愛しているだけだ。
何がそんなに驚くことなのか。


「クー、いい加減にしてちょうだい。私が聞いていて恥ずかしいわ」



まあ結局のところ、こういう話はレリアが顔を赤らめ、それにキュンとくる自分が人前なのに抱き締めようとして、ひっぱたかれて終わるのだった。