「お嬢様!!」 何度か会ったことのある、咲の家のお手伝いさんが車から出てきた。 そして、咲をきつく抱きしめる。 咲の家は、お父さんもお母さんも仕事で忙しく、滅多に帰ってこない。 お金持ちだけれど、やっぱり寂しかったのかもしれない。 寂しい気持ちは、私もよく知っているから分かる。 彼女は「またね」と言って、私とハルに手を振り、車に乗り込んだ。 彼女の乗った車は、巨大なビルの谷間に消えていった。