入道雲がもくもくと育つ、夏。 ようやくセミが鳴き始めると、ああ、夏がやって来たんだな、と実感する。 「次は、××公園前、××公園前です。」 通学、通勤する人々でいっぱいのバス内に、機会アナウスンスが入る。 すると、同時に私の胸はドキドキと高鳴る。 運転手は、すれ違うバスに右手を軽く挙げ、停留所にバスを横付けした。 私は運転手の後ろの席から、窓の外に目をやる。 瞳に映すは、彼の姿。 彼は、バスの中に私の姿を見つけると、満面の笑みで手を振った。 私も笑顔で手を振り返す。