「もう二度と桃に会うな。」 レンは低い声で、コンクリートの上に言葉を吐き捨てた。 そして、私の手首を掴んだまま、家の扉の方へ足を向ける。 「それはできない。」 背を向けた私たちに、ハルが言葉を投げた。 レンは足を止めて振り返り。驚いたようにハルを見る。 力なく壁にもたれたままのハル。 でも、レンを見る目は力強い。 ハルは続ける。 「桃が好きだから。」