後夜祭を抜け出したメンバーは、
例のごとく、
鉄板焼きを囲っていた。


でも、その中に、
徳幸の姿はなかった。


なぜならば、
小出家の防音室に居るからだ。


「え、わかんねー。」

「いい?もう一回やるよ!」


茜にピアノを教えてもらっていたのだった。


「だから、早いんだっつーの!」

「超ゆっくりじゃん!もうさー、トクにはピアノの才能はナイんだってことだよ!」

「そんなことナイ!」

「ちょっと休憩したら!こうやって、手をぶらぶら〜って!」

「…その間、なんか弾いて。」

「いーよ!何がイイ?」

「じゃあ、俺に贈る唄。」

「えー。」

「クラシックとかって、あんま知らないけど、猫ふんじゃったっとか弾くなよな!」

「じゃあ〜。」


そう言って茜は、有名なアニメの曲を弾きだした。


「なんだそれ!」

「楽しい感じは伝わるでしょ!」

「…そーゆんじゃなくてさぁ。」

「あ、ダメ?」

「他には?」

「…」

「…」

「…」

「なげーよ!」

「じゃあ、これ。」