「この街に一度入れば、発泡は許可」



ヘリコプターに乗る前、上官がそう言っていた。



若い兵たちが多少騒ついたが、僕にはそう気になることでもなかった。



「その銃を立派に使いこなし、敵を倒してくれ。言っておくが、これは訓練ではない。実戦だ」



ヘリコプター内の騒つきが消え、聞こえてくるのは喧しいくらいのエンジン音だ。



「もうすぐ街内に入る。入ってロープで地上に降下後は、ほぼゲリラ行動だ。味方が下にいるわけじゃない。ここの仲間と行くもよし、単独行動もよし。運良く味方の小隊にでも会えれば最高なんだがな」



上官が曇った表情で言った。



隊員たちにも不安の表情が見て取れる。



僕は自分でも驚くほど冷静でいた。



「安全装置解除!」



これから、僕らの地獄が始まるんだ。