……まぁ単純に、勇気がなかっただけなんだけど。

「あ~ぁ、失恋……しちゃった。那智ぃ~……」

涙がぽろぽろと溢れてきた。

「あ~ぁ、もぉ泣くなって……。よしよし」

「だってぇ……っく…」

これから国語の授業なのに。

予鈴が鳴ったから、那智に促されて、急いで顔を洗ってきた。

顔はさっぱりしたけど、心はどんより曇ってる。

授業の内容なんか、ちっとも頭に入ってこなかった。


放課後……。


「り~~~んっ!カラオケにでも行こ♪」

「うん……」

失恋した私を少しでも元気づけるために、那智は気遣ってくれる。

それくらい、私だって分かる。

那智は優しくて、すっごくいい子。