聞かない方がいいって。
分かっているんだけど……


――― コンコンッ。


「理央ちゃん、いる?」


「いるよー」


帰ってきて。
ついつい、理央ちゃんの部屋で立ち止まってしまった。


理央ちゃんが何か言ってくるまで待った方がいいんだろうけど……
聞いてしまう。


「おかえり、どうしたの? 着替えもしないで」


「あー、ちょっと理央ちゃんに聞きたい事があって……」


「聞きたい事? なに」


ベットに横になっていた体を起こして、あたしの方に体を向けた。


「で、何?」


「あー」


聞きずらいな。
聞かない方がよかったかな?


でも、事がことだ。


「今週、何かあった?」


「今週?」


「何か悲しい事とかあった?」


聞いちゃったよー。


理由が何であっても、理央ちゃんも中学二年。
部活だって、先頭になって引っ張っていく立場になるわけだし。


回りの子と仲良くいかないことだって、あるはずだ。