それからというと……



「もー、お尻痛いよ!」


「お前が悪いんだろ?」


「あたし、何も言っていないよ」


グイグイ飛ばして走ったせいかお尻がジリジリする。
ゆっくり走ってくれていたのに、やっぱりいっくんは意地悪だ。


いっくんのバカッ。


「まお、今日はもう休めな」


「言われなくたってそうしますーっだ」


ベーッだ。


意地悪いっくんの言うことなんかもうムシだ。


「じゃあね、バイバイ。
バイト頑張って」


それだけ言ったらスカートを翻してあたしはさっさと家の中へ入ってしまう。


あっ……
いっくんに『ありがとう』って言い忘れた。


チラッと玄関から外を覗いてみたけど……


「行っちゃった」


メールでいっか。
メールで。


ピピピっと打って送信。



『送ってくれてありがとう。
言い忘れたからメールした。

お尻痛いんだからねっ!』