「お迎えご苦労様“前田くん”」


「お守りをありがとう瀬川さん」



ちょっと待て!
どうして柱に背中を預けて待っているのよ、いっくんが。


あたし今日から登校する事菜々にしか言っていなんだよ。



「じゃあ、この“でかい赤ちゃん”は今度はこっちで預かるから」


「お守り大変かと思うけど頑張って」


『でかい赤ちゃん』ってあたしの事?
お守りって何よ。


「あたしは赤ちゃんじゃないっつーのっ!」


「まお、うるさい。
瀬川さんに“バイバイ”言わないのか?
バスに乗り遅れんぞ」



バスに乗り遅れるのは非常にマズイ。


なんせこの3日分のバス代をママから貰っているんだ。


それに学校までの距離を歩くのもまだちょっとしんどい。



「菜々、バイバイ」


「学校頑張りなさい」


「はーい。
行こう、いっくん」