「ほら、さっさっと口を動かす。
じゃなきゃ間に合わないよ」


「はーい」



退院しても我が家の朝は変わらない。


あたしよりも早く家を出るパパと理央ちゃんは準備が出来ていて、もう玄関に向かっている。


あたしはあと、数十分余裕があるからのんびり……


って、そんな時間無いじゃん。


いくら退院明け第1日目だからと言ってギリギリにホームに向かうのはマズイ。


せっかく、今朝は久しぶりに菜々に会えるっていうのに。


バカバカバカ。
これじゃあ、いつもと変わらないよ。


勢いよく、ご飯を流し込み薬を握って水道へ急いだ。



「耳鼻科からの薬、飲んだ?」


「んはぁー、今飲んだ。
じゃ、歯を磨いてくる」



急げ急げ~。
これじゃあいつもと変わらない。



「あっ、パパと理央ちゃん。
行ってらっしゃい」


「行ってくる。
まお、無理するな。
具合悪からったら帰ってこい」


「バイバイ、まおちゃん」