「おはよ」


「おはよう、まお」


真っ青な空に、優しい太陽に包まれて迎えた今日は――― 始業式。

あたしは2年生になった。


“ドキドキ”や“ワクワク”した新鮮な気持ちで迎え、今年1年の事に華を咲かせながらの登校のはずなのに…… あたしの2年生の最初はなぜか、菜々のお説教から始まった。


「どーして、早く耳鼻科に行かなかったの!」


「だってぇー」


「だってもこってもないっ」


“こって”なんて言ってないもん。


そうやって思っていると、あたしの言葉を見透かしたようにジロリと睨まれる。


朝のホームでなぜ菜々が大声で怒っているかというと……。


「耳の異変に気付いたらなら早く行かなきゃいけないでしょ! 本当に耳が聞こえなくなったらどうするつもりだったの」


「その時は、その時だよ」


「考えが甘いっ!」


数日前に菜々に“難聴”だって、メールを送信した。


本当は直接会って言った方がよかったのかもしれないけど…… そんな勇気が出なくてメールにした。

メールだと顔が見えないからちょうどよかったんだけど……。


朝から思い切り、怒られている。