薫くんは閉じたままの携帯を握り締め ながら俯いていて、あたしはその携帯 を見つめたまま。 お互い何も話さないから、あたしから 話題を振ろうかなと思ったとき――、 「俺の話してもイイ??」 意味の分からないことを言い出した。 でも取り敢えず二、三度頷くと薫くん は話し出した。 「ちーちゃんいるじゃん??あ、千代ち ゃんね。アイツ、俺の初恋の人なん だ」 「………は??」 .