「あぁー…2008年も今日で最後、か。」


一人小さく呟きながら、自分の化粧ポーチと、伯母さんの鏡台から借りたものを取り出し、化粧を始める。

化粧品は、普段持ち歩いていないものだけ、伯母さんのものを借りた。


「茜、ケータイ鳴ってるよ。」


鏡の中の自分とにらめっこしていると、客間の扉が開いて。

廊下からひょこっと顔を覗かせた渉は、見覚えのあるケータイをプラプラと揺らしていた。


「え?…あぁ!」


―朝食の用意をしていた時に そのまま置き去りにしていたらしい。


「ありがとう」と言いながら ケータイを受け取り、ディスプレイに並んだ文字を見る。


発信元は、公衆電話。