俺は自分の気持ちを抑えながら果懍に言った。


「家…どこだ?…今日だけ…俺が家まで送るから…。」


「……陸君…抱き締めてくれないの?」


「俺に…そんな資格はねぇだろ。」


「陸君…私…もうこれ以上.前園君と…」


「お巡りさん早く!!」…岳だ…。


俺達に離れて野良猫と遊んでいた誠也が戻って来る。


「陸…岳もまた余計な奴ら連れて
来たもんだな…。
そういう事か…だからアイツ駅に
向かってたんだ…。」


岳がお巡りを2人連れてこっちに
向かって来る。


「早く!!彼女が大変なんです!!」


「わかってるよ!!それで君の彼女
は何処に居るんだね!?」


「こっちです!!……陸…」


俺に気付いた岳の顔が一気に曇った。


岳の視線が果懍に移る。


岳の姿を見ても果懍は俺から
離れず寄り添ったままだった。


「陸…お前どう言う事だよ。俺が
言った事忘れたのか?」


「そんな事を言う前にテメェの
女ならちゃんと守ってやれよ!!」


「だから!!俺は急いで…」


「そんな事をする前にどうして
自分の身体張ってでも守ってやら
ねぇんだって言ってんだよ!!」


岳への怒りが爆発する。


岳…お前は男として最低だよ…。