岳と話した事で俺のわだかまりが
完全に消えた訳じゃない。


それはこれからの日々の中で
小さくなる事があっても決して
消える事は無いだろう。


あの日の岳への憎しみは自分を
コントロール出来ない程に深い
ものだった。


それでも深い.深い憎しみ中で
芽生えた兄弟であるが故の感情。


俺は時間と共に心底.岳を
憎み切れない事に気付く。


それどころか岳の身体が良くなる
事を祈っている俺が居た。


今の距離がいい…。


今までがそうだった様に…。


結局…俺があの家に
戻る事はもう…無いんだ。


「婆ちゃん知ってた?
岳.彼女居るんだって。(笑)」


「そうかい。(笑)どんな
お嬢さんだろうね。
そう言う陸は好きな人は
居ないのかい?(笑)」


婆ちゃんが笑いながら
俺の顔を覗き込む。


「俺?……居るよ…。
片思いだけどね…。
でも…もう諦めなきゃ
いけないと思ってる。(笑)」


「諦めるのかい!?
想い続けてたら
叶うかもしれないよ。」


以外な話しの
展開に俺は焦る。


「俺の事はいいんだよ!!
そんな事よりご飯おかわり。(笑)」


「はい.はい。(笑)」


びっくりした…。


婆ちゃん…鋭過ぎるよ…。