主人とネコ(仮)




「じゃあせめて、窓だけでも開くようにしてほしい……」

扉が開かないことは、さすがにもももわかっていた。
けれどまさか、窓までびくともしないとは思わなかったのだろう。

「外の空気に触れたいの」

悲しそうな瞳を向け、彼女は言う。

「しかし」

「まさか私が窓から飛び降りるとでも?」

グレイの言葉を遮り、ももは続ける。

「魔力が使えない今、私は浮遊の魔法すら使うこともできない。飛び降りるなんて事をしたら、死ぬ危険性が高いぐらいわかってるよ。だから飛び降りれる訳ないでしょ」

窓から下を覗けば、この部屋は大体5階ぐらいの高さにある。
さすがに飛び降りようとするほど、無茶なことはしないだろう、と彼も納得した。

「だからお願い、窓だけでも……!」

そしてもうひとつ願うことは、どうかこの脱走計画が成功しますように!

「……エル様にお伝えしときます」

やった!

声に出したい気持ちを彼女はどうにか抑える。


窓さえ開ければ、こっちのものよ!

「それでは失礼します」

そう言ってグレイは出て行く。バタン、と扉が閉ざされたあと、ももは枕に顔を埋めがら足をばたばたとさせた。

嬉しそうに顔を上げ、窓の外を眺める。

「リーラ、早くあたしの居場所に気付いてね」


そうすれば、さっさと此処から逃げることができるから。