恋の訪れを知らせたアガパンサスは、まだ部屋の窓辺で白い花を咲き誇らせていた。
それを見る度に思い出すのは、言うまでもなく蓮の笑顔。
だから逢いたくなってしまう。
その為に作るケーキは、あくまでも口実。
そんなことを思いながら、絞り袋から生クリームを飾り付けていた手を止めた。
「……うーん」
「なぁ」
「どの辺りが上手かなぁ」
「……悩むまでもないだろっ。どうやったらケーキのスポンジが直滑降になるんだよ」
「……だから綺麗な所だけ切るのっ」
幼なじみの小日向 夏葵(なつき)の呆れ顔を横目に、わたしはまともにスポンジの膨らんだ部分に丁寧にナイフを滑らせた。
……直滑降は言い過ぎだと思う。
すべり台くらいには……なだらかだし。
「苺のせときゃ一端には見えんだろっ」
「あっ! わたしがやるっ!」
苺を入れた皿から一粒つまみ上げた夏葵に思わず唇を尖らせた。
最後の仕上げは自分でやりたいもん。
それを見る度に思い出すのは、言うまでもなく蓮の笑顔。
だから逢いたくなってしまう。
その為に作るケーキは、あくまでも口実。
そんなことを思いながら、絞り袋から生クリームを飾り付けていた手を止めた。
「……うーん」
「なぁ」
「どの辺りが上手かなぁ」
「……悩むまでもないだろっ。どうやったらケーキのスポンジが直滑降になるんだよ」
「……だから綺麗な所だけ切るのっ」
幼なじみの小日向 夏葵(なつき)の呆れ顔を横目に、わたしはまともにスポンジの膨らんだ部分に丁寧にナイフを滑らせた。
……直滑降は言い過ぎだと思う。
すべり台くらいには……なだらかだし。
「苺のせときゃ一端には見えんだろっ」
「あっ! わたしがやるっ!」
苺を入れた皿から一粒つまみ上げた夏葵に思わず唇を尖らせた。
最後の仕上げは自分でやりたいもん。