ツンツンと引っ張ってみても、しっかり絡み付いて取れやしない。




ってか、この体勢もどーにかして…



誰が見たって抱きしめられてるとしか思えないって…




柔らかく匂う男の香り。


トクントクンと波打つ男の鼓動の響きに、急に恥ずかしさが込み上げ。




手が震え出す…



焦れば余計絡んで。



………。




「も、もぅいいから切って!!」



…ブチッン!!





ぶ、ブチッって…







目の前に差し出された髪の毛先にぶら下がる小さな物体…



……ボタン…








「ボタン引きちぎったの?」



「どーせ取れかかってたし気にする事じゃねぇ」




その毛束を摘まんでフルフルと揺らして見る。







男の胸の中だなんてスッカリ忘れちゃってた。






「綺麗な髪切んなくて良かったな」







「ふぇ?」






……あっあーッ!

慌てて男から離れた。