アオちゃんが他の人血を口にしてから、ボクは生徒会室に全く行ってない。
あの時ボクに見られたって、絶対にアオちゃんは気づいている。
だからアオちゃんに会いに行ったって、



これ以上空気が重くなるだけ。
ボクがそれに押しつぶされるだけ。



だから、あの出来事以降は屋上に来ている。
前に一度来た事があって、此処から見える景色があまりにも綺麗だった。
それは季節が夏に変わろうとしている今でも綺麗だった。
だからボクのお気に入りの場所なんだ。

イヤな事があった時、
つらい事があった時、
悲しい事があった時、

此処に来て、仰向けに寝そべって、何処までも果てし無く青い空を見ると気持ちが和らぐ。
それに心地良い風が、ボクを優しく撫でてくれるからとても心も身体も落ち着く。
だから此処が大好きなんだ。

でも、最近は落ち着かない。



この綺麗な空を見ると、青を見ると、思い出してしまうから。
アノ人の瞳と‥‥同じ色、だから。

「‥‥どうして?」

どうして頭から、ボクから離れないの?
離れてくれないの?

アオちゃんと今は一緒に居ない。
だからもちろん、



顔が見えない、
声は聞こえない。



なのに、ボクからアオちゃんの存在が離れないのは、どうして?

『会長のコトが好きだからじゃないのかな?』

前に桃に言われた言葉。
この言葉は、あれから何度も何度もボクの中でリプレイされる。
その度に持っているミュージックプレーヤーの音量を最大にして、その言葉を頭から掻き消そうとした。
でも、この行動は全く意味を持たなかった。