「あ、ズボった?」

「……ニューヨーク戻るって」

そう言って、聖也は教室から出て行ってしまった。


「?」

あとに取り残されたヒノケンは首を傾げるだけだった。

♪~

ポケットの中のケータイが鳴った。

「メール?」

ちぃからだった。

『今週の土曜日に、引越します』

「え?」

一人なのに、思わずデカい声がでた。

「今週……土曜日」

(試合じゃん………)


夕方。

「で、圭子がそう言うから~」

「圭子ちゃん、面白い子なんだね」

元カノの家の前で待ち伏せしていた土屋が目撃したのは、どこかの親父と腕を組んで歩く元カノ。

「おい!」

思わず両人の前に立ちはだかってしまった。

「……………タカちゃん?!」

「え、知り合い?」

男が彼女に聞くと、少し強引に腕を引っ張った。

「……違う。行こ!」

「おい…待てって。俺達……別れたけど、援交はねーだろーが」

土屋も強引に彼女の肩をつかんで振り向かせた。

「なっ………!」

「ちょっと……真理ちゃん」

「………!きやすく真理なんて呼ぶな!!」

思わず男の胸ぐらを掴んで拳を振り上げた。