「ですよね~」

土屋はまた辛そうな顔をした。

「お前が申し訳なく思うのもわかるけど……知らなかったんだし」

キノは土屋の背中をさすり、優しい言葉をかけた。

「つーか…俺からしてみればお前より直人に問題ありだと思うけど………記念日に彼女ほかるかフツー」

ヒノケンが呆れ顔で不意に後ろを向くと、直人が立っていた。

「なおっ………?!」

「フツーじゃなくて悪かったな」

「い、いや……てか……」

テンパるヒノケンを横目に、直人は土屋の前にいった。

「直人~!ごめん~!!」

「もーほら…涙ふけって」

直人は何故か持っていたトイレットペーパーを多めにとって土屋の目を拭いた。

「ほら、鼻も」

母親が小さい子供にするようにトイレットペーパーで鼻をチーンとさせた。

「直人もーいいの?」
キノは直人を見つめた。

「いや、また薫からかかってきた」

「えぇ?!」

「もーかけてくんなって言ったけど……」

なんだか不服そうに顔を歪めた。

「またかけるわ~みたいな?」

ヒノケンが女声で聞くと、直人は黙って頷いた。