しびれるような恐怖が背筋をかけぬける。
……いつか、こんなことがあるかもしれないと思っていた。
だけどそれが今日だとは、考えてもみなかった。
「知り合い?」
連れの女性が不思議そうに言うと
「うん。高校の頃、同じ生徒会だったの」
面倒見のいいお姉さんのような口調で、さやかさんが答えた。
記憶の中のブレザー姿より、ずっと美しくなった人。
白い肌に、ごく薄い化粧。軽やかなカールを弾ませる髪。
朝露に濡れた花のような、しっとりと可憐な雰囲気をまとい、さやかさんは微笑んでいる。
「お久しぶりです……」
そう言って会釈するだけで、精一杯だった。
あとはどんな風に切り抜けたのか、はっきりと覚えていない。
気がつくと私は彼女たちを席まで案内し、ドリンクのオーダーを取って戻ってきていた。