赤りんご






「…分かった…じゃあ頼む」



そう言うと、亮太は私のリボンを手に取って私を連れ出した。



手を握る力がいつもより強い。



きっと亮太も、私と同じ気持ちだ…。




下校途中の生徒の視線も気にせず、ただ黙って歩く亮太の背中は男らしい。



途中で教室とは違う方向に歩いていることに気付いた。



どこに行くのかは聞かない。



きっと…図書館だから。






図書館の中に入ると、蒸し暑く懐かしい匂いがした。





黙って私をじっと見る亮太は、悲しそうな顔をしている。




「亮太…そんな顔しないで」



「……ゴメン、俺の元カノ…千明ってヤツ…」




頷く変わりに私は微笑んだ。



「……あの人、亮太のこと大好きなんだね」



あんな態度されたら、誰だって分かる。



亮太はモテるんだあ…。




「守ってやれなくてゴメンな…」



亮太は唇を噛み締めていた。



力強い真っすぐな目で見つめられると、私はまた今にも泣き出しそうだった。