赤りんご






その言葉で余計相手を怒らせてしまったみたいだ。



でも、私だって負けたくない。


こんなに好き勝手言われて…悔しいよ。



私は、亮太の彼女だもん。



その場で立ち上がって睨みつけると、相手もまたすごい剣幕で私を睨みつけた。





こんな経験は初めてだった。



好きな人をめぐって喧嘩になるなんて、ドラマの世界だと思ってた。




負けたくない気持ちと、有り得ない恐怖が交差して、拳が震えていた。




「お前…調子乗ってんじゃねえよ!」



怒りが頂点に達した『チアキ』は私の胸倉を掴んだ。



プチンと制服のリボンが外れて床に落ちた。





「離してよ!!」



負けてられないと思って必死で腕を振り払おうとすると、相手も負けじと突っ掛かってきた。



まるで取っ組み合っている状態だ。




残りの二人も、私を押さえ付けようと必死だった。




痛い…痛いよ。



私、何やってんだろう…。



泣きたくないけど、涙が出た。




負けたくないけど…


もう無理…。