ゆっくりゆっくり、踏みしめるように僕たちに近づく、瞳に雫を溜める彼女。
麻人は気を使ったのかそれとも空気に耐えられなかったのか、
「俺、ちょっと電話行ってくる。」
ポケットから取り出したケータイを片手に、教室を出て行ってしまった。
残された僕と彼女は、必然的に、この場所に『ふたりきり』になる。
漫画とかアニメとか、そういった二次元の世界で『ふたりきり』と言えば、かなりオイシイシチュエーションなのかもしれないが。
残念ながら、僕たちにとっての『ふたりきり』に、あまり深い意味はない。
「…幸希。」
まったく、彼女にしても麻人にしても。
一体何度同じ事を言えば、納得することができるのだろうか。

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