「…で。結局断ったのか」
「…ん。」
バケツをひっくり返したかのように勢いを増した雨から逃げるように、
ごまつぶみたいな小ささのカップルが走り抜けていく姿が目に映った。
1年3組の時計がカチリと音をたて、同時に響くチャイムが、もうじき下校時間だということを教えてくれる。
「幸希にしてはもったいないことしたんじゃない?」
言われてみて確かに。と思ったが、天の邪鬼な口から出たのは「余計なお世話だ」という皮肉だった。
教室から眺める校庭は、見とれるほど綺麗なわけではなかった。
しかし、『彼女』のいない世界では、目に写るもの全てがどうでもよかった。
「…やっぱりまだ忘れられないのか?」

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