シャツ。ブレザー。
そんなことを聞いて、どうするつもりなのだろうか。
彼女の意図がわからなかった僕は、うんと頷くことしか出来なかった。
「…がほしい」
「え?」
「幸希の学ランの、第2ボタンがほしい」
それはかつて、心から愛していた人が言った言葉と瓜二つだった。
思い出さないようにしていた記憶が堰を切ったかのように溢れ出す。
『幸希』
『大好きだよ』
『幸希の第2ボタンが欲しい』
『幸希のじゃなきゃ、駄目なの』
思い出してしまえば、こんなにもカラフルで、そして鮮明な記憶だった。
ぼやけていた『彼女』は、秒を重ねるごとにリアリティを増す。
15歳のちっぽけな子供が、と言われるだろうか。

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