涙の終りに ~my first love~

情けなかった… もうどこかに消えてしまいたかった。
魂の抜けた人形のようにボロボロになって部屋にいるとヒロが遊びに来た。
ヒロはオレの顔を見るなり、「ユウジ! どうしたん!」と大きな声を出していた。

オレは奴の顔を真っ直ぐに見る事が出来ずに横を向いていたが、
ガキの頃から付き合いのヒロは、オレの顔を一目見てどんな状態かを悟っていた。

「ユウジ何があったん、話して」とヒロはオレの肩を抱いてきた。

オレはヒロの目を見ずに「何でもねぇよ、体調が悪いだけ」と
面倒くさそうに言ったが通用するはずもなかった。
どんな時でも温厚なはずのヒロに、

「体調が悪いぐらいで泣くのか?」とムキになって詰め寄られ
「ダメだ・・・ コイツには隠せない・・・」そう観念したオレはポツリと

「真子が・・・」と重い口を開いた。するとヒロはオレの話しを遮って
「あの男の子って真子の子だろ?」と言った。

「オレはなんで知ってんの?」と

言わんばかりにヒロの目を見つめた。
するとヒロは大きくため息をついて

「今日はその事で心配になって来た・・・」

とオレの肩から手を離し座り直していた。
ヒロは子連れのオレ達が初めて店に来た時、
すぐに”子供は真子の子だな”と思ったと言う。

そしてそれはユウジ以外の第三者なら誰でも分かる事だと言った。

すかさずオレは「何故そう言い切れる?」と言うと、
「おまえは真子にのぼせてるから分からないだけ、
オレはアイツに特別な感情を持っていないからすぐ分かる!」と
ヒロは自分の胸を叩きながら言った。

そして二回目にオレが店に来た時、”ユウジよく平気でいられるな・・・”と思い、
他の男との間にデキた子を抱いて楽しそうなオレを見損なっていたという。

そしてその数日後に再びオレ達が店に現れた時にたまらず、あの

”ユウジいつも何してんの?”を言ったのだという。

その時のオレの表情を見て
”さてはこいつ何も知らないな・・・”と思ったらしい。
それで今日、オレに会って本心を確かめ、ヒロが思っているような事であれば
”忠告”するつもりだったらしい。