「二人ともついたよん」
綾姉の言葉で目が覚めた。
いつの間にか寝てしまっていたのだ。
「ちょっと今からライヴ見るんでしょ?テンション上げていこうよ」

「はあい」
私はそう答えまだ寝ている楓を揺さ振った。

「わ、マカロン飲み込んだ!」
と起き上がる楓。

唖然としている二人。

しばらく静かな空気が流れた。

沈黙をやぶったのは
綾姉でした。

「あんたが飲んだのは酒や、この飲んだくれ娘」と
楓の頭を叩いた。

目が覚めたのであろう
楓は頭を擦りながら
キョロキョロしている。

「じゃぁ行くよ!まだ、早いけど楽屋に差し入れ持ってくから、あんたたちも着いてきて!」

「はあ〜い」

同時に返事をして車から外に出た。

見上げると黄昏ていく空が見えた。
考え事を吸い込んでくれそうな、そんな空が。