「…一馬でしょ?」
「何が?」
「あの時、あたしがアイツらの後追って行ってた時、確か一馬、誰かに電話してたよね?あれってリュウか翔平に掛けてたんでしょ?それに…それにあたしの教科書だってリュウが持ってた」
焦る事なく落ち着いた口調で話したのに何故か心の中はソワソワして慌ただしくなっていた。
「そう、俺」
そう返ってきたのは暫く経ってからだった。
「何で?一馬、リュウ達と知り合いなの?」
「夜はね…」
“夜はね…”
意味の分からない言葉に多少あたしは戸惑った。
一馬の正体が分からない。
だけど一馬を見た時あたしは思った。
クラスの中じゃなくても一馬は一般的にモテる顔だと思う。
だけど一馬はいつも孤立してて、とくに他の人と話すと言う事はまったくしない。
時たま笑うんだけど、時たま凄い冷たい目付きで返してくる。
それはまるでリュウと翔平とまったく同じだった。
だから一見、凄い近づきにくい男だと思った。
「夜だけって何?」
聞いちゃいけないのかなと思いながら恐る恐る聞くあたしに一馬はフッと笑った。



