「……ない」
「あ?」
「言えないよ」
2度目の言葉で声を上げ、あたしは伏せていた顔を上げた。
眉間に皺を寄せてタバコを咥えるリュウに少し苛立ちが芽生える。
何でそんな事、言われなきゃいけない。いつもいつも無口なリュウに深く問いつめられたくない。
「何で言えねぇんだよ」
「こんな事、言える訳ないじゃん。言ったって人なんて信じられないよ。結局は人なんて他人じゃん。別にあたし助けてなんてリュウに言ってなし、いつも何でもない様な顔をして無愛想のリュウに言われたくない」
一気にそこまで言って荒れた呼吸を落ち着かせようと軽く目を閉じた時、バサバサっと床に何かが落ちる音がして閉じた目を開いた。



