涙の欠片


この後、何がおこるのかはあたしには分からない。

それ以前にあたしは小刻みに震えていた。


目の前のリュウに…




「来い」

そう告げられたのは暫く経ってからだった。リュウはあたしの頭を撫で続けて、手についていた雫をパッパッと払う。

そしてあたしに背を向けて歩きだす。

今だに毛先から垂れ落ちる雫に目を向けて立ち尽くすあたしに「恵梨菜!!」とリュウの低い張り上げた声が飛ぶ。


顔を上げると怒りに満ちたリュウの顔が目に飛び込み、あたしはリュウの元へ足を進める。

授業始まりのチャイムだろう。遠くから聞こえてくる生徒達の声を耳にしながらリュウとあたしは裏道から抜け出した。