涙の欠片


その下に散らばる落書きだらけの教科書を掻き集める一人の男。



…一馬だ。


何を思ってそんな事をするのか分からない。ただ、この光景を見るのは毎日。


「いいよ別に」


駆け寄って教科書を拾う一馬に言うと一馬は無言で教科書を拾い集め、机の中じゃなく机の上に置く。

いつもは中に入れるのに何で?

まだ落ちている教科書を何気ない顔で拾うあたしに一馬は「お前…」と言って不思議そうに見つめていた。


「何?」

「いや…別に」


そう言って一馬は机をかき上げ教室の中に入り、あたしは残った椅子だけを抱えて入った。