涙の欠片



ドンドンドン――…。


廊下を走る音で顔を上げる。窓に目を向けると日差しが入り込み、聖梨香の走る音が反響してくる。


また嫌な朝だ…。


立ち上がって窓を開け手に持っていたタバコを咥え火を点ける。

朝の清々しい風も小鳥の囀(さえず)りも、あたしにとったら邪魔者だ。



7:45。


聖梨香が出て父が出勤する前、あたしは必ず制服を着て父の前に姿を現す。

世間体に煩い父に学校へは行っていると言う見せ掛けだ。

ううん。見せ掛けじゃなくて、ちゃんと行ってるんだけど…。