涙の欠片


あたしが何したって言うの?
何か迷惑掛けてんの?
転校生がイラつくの?
あたしの態度?


女が進む背中の後を付いて行く途中、廊下に居た一人の男と目が合った。

あたしの隣の席の男。初めて教科書を拾ってくれた一人男。

後にして知った。この男が一馬と言う事を…


ジッと見つめてくる一馬の瞳を見て“何もないし”と言うようにあたしはフッと笑い通り過ぎた。

馬鹿みたいによくある体育館の裏に連れて来られたあたしに女達の声は飛んでくる。


「あんたさ、ちょっと男に話し掛けられたからってイイ気に乗ってんじゃねぇよ」

「ってかさ、あたしの彼氏もいんだけど…。話すんじゃねぇよ」


腕を組んで言ってくる言葉は馬鹿げた話。前の学校でもよくあった。

って言うか、お前の彼氏なんてどいつか知らねぇよ。

そんな事は口には出さず、あたしはただ女の言葉を待った。