深い闇の中から目を覚まし、額に手を当ててゆっくりと身体を起こした。


「また夢か…」


額に当てていた手を徐々に下に下ろし首元を擦る。ベタッとした気持ち悪い汗が身体中に纏(まと)い、また自分を消そうとする。

乱れた呼吸を落ち着かせようと何度も何度も息を吐き、身体に覆いかぶさっていた布団を剥ぎ取り床に足をつけ、壁に掛けてある時計に目を向ける。


…22時40分。


少しの仮眠も、この家もあたしは好まない。


足元にあるタオルを拾い上げ首元の汗を拭き取りながらクローゼットの中から着替えを取り出し風呂場へ向かった。

ドロっとした汚い汗がついた服を脱ぎ捨てて、勢いよくシャワーを全身にかける。嫌な物も全て消すように洗い流す。