涙の欠片


「乗るなよ」


背後から先生の張り上げた声が飛んできて、校舎の角を曲がった瞬間、

「さぁ、乗れ」

と、一馬は言ってあたしはそれに従って後ろに跨った。


道路に出ると案の定、先生の怒鳴り声が飛んできた。

その声に一馬は右手を上げ大きく後ろに向かって手を振る。

そんな一馬の後ろでクスクス笑うあたしに「んだよ」と一馬は不機嫌な声を出した。


「いや…別に」

「それよかお前、薬の量守ってんのかよ」

「守ってるって、毎日毎日聞かなくていいし、しつこいよ」

「アホか。俺より翔平さんのほうがカナリしつこいんだけど…、毎日うっせぇんだけど」


笑う一馬につられてあたしも笑う。


「でも、ホント大丈夫だから」

「まぁ、それぐらい心配してんだよ」

「うん…。ありがと」