涙の欠片


そう言ったものの男は平然な顔をしてあたしの手から教科書を奪って机の中に押し入れる。


「それは俺の勝手だろ」

「あたしが困る」

「後でどうにかなんだろ」


男は何気ない顔をしてあたしの隣の席に腰を下ろし、あたしも自分の席に腰を下ろした。

この人の名前なんて知らない。って言うか、このクラスの人の名前すら知らない。

だって別に覚える必要がないから。


とにかくあたしには話し掛けないでほしい。とくにこの横に座っている端正な顔をした男には話し掛けられたくない。

だって、


最後には、あたしにくるんだから…