涙の欠片


次の日、教室に入ってすぐあたしは自分の机の横で暫く立ちつくした。

机の中に入れていた教科書全てが下に落ちている。“落ちている”じゃなくて落とされている。

周りから密かに聞こえてくる笑い声。それとは逆に何も言わずに見つめる人達。


別にいい。どう見られても構わない。

あたしは軽く息を吐き下に落ちている教科書を集めていると、教科書を持った手が横からスッと伸びてきた。

ゆっくり目線を上げると一人の男が2冊重ねた教科書をあたしに差し出してきた。


「はい」


その差し出された教科書を素早く受け取り、あたしは重い口を開いた。


「あたしに話かけないで…」