涙の欠片


「あっ、恵梨菜ちゃん!!」


不意に聞こえてきた大きな声に一馬の足はピタッと止まり、2階に続く階段から慌てて麗さんが走ってきた。


「お願い。止めてよ…、止めて!!」


目に涙を溜めながら、あたしの両腕を掴んで必死に言ってくる麗さんに一瞬、身体が震えた気がした。


「…誰…を…、ですか?」


途切れ途切れに話すあたしに、「リュウだよ!!」と麗さんは声を張り上げた。


「お願い。恵梨菜ちゃんしか居ないの…。翔平でも徹でも駄目なの。……相手死んじゃう」

「…―――え?」



分かんなかった。

麗さんの言ってる事が分かんなかった。

頭の中が真っ白で、目の前も真っ暗になりそうだった。