涙の欠片


暫く走って、繁華街の近くまで来ると入り口辺りに人が集っててザワザワとした騒ぎ声も聞こえてきた。

そして、その人集りは目の前にある古びたビルを見上げている。

バイクから降りる一馬を見て、あたしも降り、メットを一馬に手渡した。


「お前…、いい加減素直になれ」


意味不明な言葉を一馬は呟き、あたしの腕を引っ張って人込みの中へ入って行く。

群れの中に入ると、あたしの身体に周りの人の身体がぶつかってくる。


一馬の言った意味もわかんないし、この人達も全然分かんない。


「ヤバくない?」

「最近よく荒れてるよね」


そんな周りからの声を耳にしながら古びたビルに入った途端、怒鳴り声を撒き散らす声が上のほうから聞こえてきた。


…――えっ、何これ…、


外は街灯で明るかったけど、中に入ると少し暗くなった。

辺りにはガラクタが散乱していて、どう見てもいい場所だとは思わない。