涙の欠片


ジメジメとした空気の中で強くなる雨が身体を濡らす。

一馬は俯くあたしの顎を掴んで、あたしの顔を上げた。

潤んだ瞳で一馬を見上げると、一馬は今まで見た事もない顔つきであたしを鋭く睨み付けた。


「お前…、二度とそんな事、口に出すんじゃねぇぞ」


そう吐き捨てて、一馬はあたしの顎に添えていた手を離し、そのまま腕を引っ張り扉の前で足を止めた。

上には小さな屋根があり、あたしの身体は雨から守られる。


激しく降り続ける雨と激しく聞こえてくる雨音。



…――雨は無情にも強くなる。



俯いているあたしは真向かいにいる一馬の表情すら分からない。

その一馬の胸元にあたしは頭をくっつけた。


「……もう…、どうしていいのか分かんない…」