涙の欠片


「何だ、その髪」


そう言って一馬はズカズカと足を進め、あたしの後ろにあったベンチに腰を下ろす。

キョトンとするあたしに一馬は自分の頭に指差し、「色」と一言だけ呟く。


「えっ…、色?」

「ヤンキーかよ。怖ぇーよ」


一馬はチラッとあたしに目を向け、フッと笑いタバコを取り出して口に咥える。


「怖くねぇし…。一馬のほうが怖いし」


一馬はカチッと音を出して火を点け、口に咥えたまま「…俺が?」と上目線であたしを見る。


「知んないの?一馬、怖いって有名じゃん」

「知らねぇよ。お前も大概有名だろうが。そんな髪してっと、もっと有名だぞ」


一馬はクスクス笑いながらタバコを咥えあたしを見つめる。

その一馬の瞳から思わず目線を逸らした。


一馬とこうして話すのは4ヶ月振りだ。