涙の欠片


「ちょっ、達也痛いって!!もう少しゆっくり歩いてよ」


達也は凄い不機嫌な顔をして何も言わずに足を進めて行く。


「達也っ!!」


達也に掴まれている左腕がジンジンする。

痛い…

何度も達也の名前を呼んでも、達也は何も答えず足を進めて行き、あたしの息もきれかける。

暫く歩いて達也の家まで来ると達也はあたしの腕を離し、あたしを少し睨み付けた。

息を切らして呼吸を整え、達也の部屋まで行くと「お前…」と達也は不機嫌な声を出してあたしをジッと見つめた。


「お前…、俺の事どー想ってんだよ」


達也の顔は今までに見た事もない怒りの顔だった。

そして、その言葉は今までにも何回か聞いた言葉だった。

だから、それを聞かれるたびあたしは少し疲れていた。


「好きだよ…」

「じゃあ、何でさっき立ち止まった」

「……え?」


怒る達也の顔を見て、あたしの口は閉じる。

何でだろう…

何で立ち止まったかなんて分からない。

気付いたら立ち止まってた…。


「なぁ、恵梨菜…」


達也はそう言って、あたしを抱き締め唇を重ね合わす。

離れた瞬間、達也の口は微かに動いた。



「なぁ、もういいだろ?抱かせろよ…」